soundtrack for **

polkazurとplan-lentementとolivverdaと

【STORY】Eugenia

親愛なるユージニアへ。
 
 
私が、気弱なあなたの中にひっそりと生まれてから、何年が過ぎたことでしょう。
 
 
あなたはどこからかこの寄宿舎にやってきた。
 
 
そして、魔女と呼ばれる人がこの世にいるということ、不老の存在であるということ、
そしてあなたもそうであることを、告げられた。
 
 
あなたはしばらく驚いて受け入れられずにいたけれど、
周りのみんなも魔女なのよ、と聞いたら少しほっとしたようで、
「それなら大丈夫。」と、やっと笑顔を見せてくれた。
よく憶えてる。
お友達が増えた、って思えてとても嬉しかったわ。
 
 
 
生徒の1人として、魔法のこと、生き物のこと、薬草のこと、それに人の心の動きについてを学んでいく日々。
学校はとても楽しかったわよね。
 
お友達が急にいなくなったことがあったわね。
あなたはとても不安そうにしていたけれど。
あの子、シャルロットは、脱走したわ。
 
それが卒業の条件だったの。
 
 
あなたが、寄宿舎に入ってきたあの狂った男に対して魔法を使ったように。
 
 
 
最初にこのシステムを作ったのは誰だったかしら。
魔女と呼ばれるものは皆、この寄宿舎でそれぞれ時を過ごすの。
未熟な自分に足りないものを埋め合わせることができるまで。
外に出られるようになるまで。
 
 
 
 
 
合格したらすぐにでもここはただの草原に戻り、魔女はその真ん中で夢から覚める。
 
 
もし、合格できなかったらって?
 
あなたはずっとそのままだったかもしれない。
 
 
 
 
私は、この場所で次に来る魔女を待っているわ。
ただ、
彼女の卒業が何年後になるかは知らないけれど。
 
 
 
#
 
読んでいただきありがとうございます。ユージニアのお話でした。
 
 
歌詞を読んだ方は、なんの脈絡もなく寄宿舎というワードが出てきたことに戸惑う方もいるかもしれません。
戸惑ってください。笑
 
魔女が成長するためには何が必要だろう?と考えた結果の学び舎、寄宿舎です。
 
 
ユージニアの卒業条件は、「危害を加えてくる相手に立ち向かえるようになること」です。
 
 
合格の条件は人により違いますが、
「人の温かみを知ること」「小さな命を最後まで看取ること」「集団を率いる力を身につけること」など、魔女として生きるにあたり必要となる力がつくような課題が設定されるようになっています。
 
 
デザイン担当の葉月ちゃんとユージニアのイラスト(女の子が二人いる)について話しているときに
「このもうひとりの女の子が、いるのかいないのかわからない感じがする」という話になり、そこから膨らませました。
魔女の成長を、お友達のひとりとしてずっと見守る役目です。
 
曲を作っているとき「エコール」という映画のビジュアルと結末がずっと頭にありました。
誰かの心の奥に何を見ても、どんなほの昏いものを見ても、魔女はその後も生きていかなければなりません。
 
ユージニアには、力のあるもの(例えば男性や権力など)に出会っても、
自分の身を守るために、逃げ延びるために、相手を攻撃できるようになってほしいな、と思いながら書きました。
 
 
ちなみに、シャルロットの条件は「寄宿舎から自分の力で脱走すること」です。そのままですね。